tajirumiの日記

お話づくりが好きなので、アップしていきたいです。本の感想、戯言なども。

「エマおばさんのパンケーキ」①

エマおばさんの営む小さなカフェは、朝から夜までいろんな人でにぎわっています。

一番の人気メニューは、パンケーキ。
ふんわりと柔らかく、上にはバターが乗っている、特に変わったところのないパンケーキなのですが、どういう訳か、来る人来る人皆パンケーキを注文していくのです。

まず一口食べると、瞳にキラリと光がともったようになり、食べ終わる頃には、さあ、今日も又頑張ろう!と元気がモリモリ出てくる、そんなパンケーキなのです。

たくさんのお客さんが、このパンケーキの秘密を知りたがりました。
何か特別なものが入ってるんじゃないの?特別な作り方をしてるんじゃないの?

そんな時、エマおばさんは、笑って首をふるばかりでした。もちろん頼まれればレシピは快く教えてあげるのです。

けれど、それは小麦粉、お砂糖、卵にバター、ベーキングパウダーにバニラエッセンス。
材料を混ぜて、フライパンで焼くだけ。
ごくごく普通のパンケーキ。

ある夜の事です。窓の外はずっと降りやまない雨。エマおばさんは一つため息をつきました。
「やれやれ、今日はもうお客さんは来なさそうだわね。」

ところが、キーッとドアが開き、ずぶぬれになった女の人が、飛び込んで来たのです。