この木のうろに住んで早何年。
木の精霊として命を授かった。
いったい何をすればいい?
豊穣の祈り、雨乞い、時には迷子の子供の世話まであったり、なかなか忙しいのだが。
しかし、自分の存在する意味とは?考えるとわからなくなってくる。
ああ、もういい。
春は、鳥たちと一緒に歓び、夏は大きな木陰を作り、秋は木の実をなるべく遠くに届けよう。
冬は静かに佇んでいよう。
私の周りに集まる人間どもを守ってやろう。
人間など、弱いものだから。
私の側に駆けよって、なんと大きいんだと喜ぶ人間を祝福してやろう。
人間とは、自由なものだから。