6年4組に、かのこちゃんと言う女の子がいます。
かのこちゃんには、誰にも言えない秘密があります。
実はかのこちゃんはカッパの女の子なんです。
住んでいた街に、きれいな川がなくなって、少し田舎のこの町にお引っ越してきたのですが、なにせここの人達は、大人も子供も他人のうわさが大好き。
かのこちゃんのお父さんとお母さんは、くれぐれもカッパであることを、一人にでも話したらダメよ、と言い聞かせていました。
けれどこの頃かのこちゃんは、学校のすぐ横に流れている、きれいな水の大きな用水路に飛び込みたくて仕方ありません。
夜にすればいいかもしれないけど、夜は怖くて行けないのです。
そんなある日、お友だちのじゅんこちゃんとお話しながら歩いていると、突然すごい風が吹いて、じゅんこちゃんの被っていた学校の帽子が用水路まで飛んでってしまったのです。
帽子はどんどん流されて、じゅんこちゃんは半泣きです。
かのこちゃんは、つい我を忘れて、帽子を拾うために飛び込みました。
そして、ニッコリわらってじゅんこちゃんに渡そうとすると、「か、かのこちゃん!?」とじゅんこちゃんは言いました。
白いブラウスが濡れて透けて見えて、その体は変化が解けて緑色、しかも、いつも被っている自分の帽子を無くして、お皿が見えてしまっていたんです。
かのこちゃんは、あきらめて、じゅんこちゃんに本当の事を話すことにしました。
「わたし…わたし実はカッパなの」じゅんこちゃんは最初はめをぱちくりさせていましたが、「そうなんだ!だから泳ぎがうまいんだね」と言いました。
噂好きな住人の住む町なので、次の日にはもう、かのこちゃんの事は知れわたっていました。